ここは故郷?ばあちゃんと再会?

この夏の旅行で行った温泉街。

家から車で5時間半ほど離れた、初めて訪れる地。

 

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昼に夜にとても賑わっていた。

映えスポットを狙うわけでもなく、

地域の人が土地を理解して大切にしている様は、まさに自分が求めている光景な気がした。

 

泊まった宿はまだ新しく、敢えてシャワールームのみの備えつけで、湯船は温泉街の町湯をめぐるようにと宿から湯めぐりセットが渡される。

 

日々、夫と息子からは『とにかく風呂に突っ込んでおけばご機嫌』とされているこの私。

独身の頃から銭湯や温泉が大好き。

 

夕方。

宿でシャワーを済ませて、意気揚々と町湯へ。

戸をあけたら、洗い場は無くすぐに小さな浴場。

そんな町湯が温泉街のあちこちに十数箇所ある。

 

よーし!まずは一ヶ所目だと意気込んだけれど、とにかく熱くて足先だけでもビリビリと痺れてくる。聞けば45.6度あると。

 

隣の方に教えてもらい、なんとか腰まで、

たった5秒だけ肩まで浸かりすぐに退散。

 

外に出ると夫から『熱くて入らず向かいのビール屋さんで飲んでいる』と連絡が入っていた。

夫は家の風呂でもクラクラすると言ってほとんど湯船には浸からないので、やはりと思う。

 

そのビールやさんこそが、夫がこの温泉街へ来た目的のひとつ。狭い店だけど念願叶い無事に入店しビールを堪能。実は共通の友人と繋がっているこのお店、夫の喜ぶ顔を目に焼き付ける。

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あのたった5秒浸かった湯でも熱さが抜けず、

他の風呂へも行かずにビール屋のあとに居酒屋を2軒。

 

うねうね急勾配の道を、月が照らす。

山から半分出た月を息子が一生懸命撮る。

とても良い夜。

 

翌朝、夫と息子を部屋に残して町湯に再チャレンジ。ぬるめと聞いた湯へ向かう。

 

ぬるいという温度でもなかったけれど、

とても気持ちよく浸かれた。

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そこに私の他にもうひと方、老婆がいた。

『気持ちいいですね』と話しかける。

『ここがいちばんぬるいよ』にこやかでもない、でもまったく無愛想さを感じない口調と穏やかな表情に、急激に昨年亡くした祖母と似た空気を感じる。

 

浴槽の脇に足を伸ばして座り、ゆっくりと石鹸を泡立てて頭を洗うおばあちゃん。何十年も繰り返しているごく自然な動き。この地域の人はこうして毎日町湯に入りにきているのだろう。

 

その後ろ姿を視界に入れつつ、

誠に勝手ながら祖母と温泉に浸かっているような気分を味わい、すっかりあたたまってお先にと湯を出る。

 

宿に帰り、いいお風呂でしたと宿主の女性と話す。荷物をまとめて帰り際、宿の前で家族写真を撮っていただきながら判明したことは、宿主となんと同郷であるということ。

歳も近いころ。

盛り上がってハグしてくれた嬉しさ。

私は普段なら自分が先に動いてしまうので

こんなふうに受け身になる時、異常な嬉しさを感じる。笑

こういうことがあると思いがけず

次はいつここに来られるだろうか、という気持ちになる。

 

さて車に乗ろうとしたとき、

さっき湯で一緒だったおばあちゃんが日傘をさしてゆっくり目の前を歩いていく。

 

向こうはさっき会った私だなんてわかりもしないだろうけど、さっきはどうもとあたまを下げる。ばあちゃんはまたあの穏やかな表情で会釈をして通り過ぎていく。また勝手に、おばあちゃんが少しでも長くあのお風呂に入れますようにと思う。

 

そんな、いい出会いがあった旅でありました。

 

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